最近、この本を読みました。
『わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。』NGO=ACE著
私はチョコレートが好きなので、まずタイトルにひかれたのですが、この本は2億1800万人にも及ぶ世界の児童労働者たちについて書かれている本です。私はチョコレートも好きだけど、子供はもっと好きです。だからこそ世界の多くの子供たちが生きる現実についてもっと知りたいと思いました。
この本は、現地で活動するNGOの人たちの体験を通してアジア、アフリカ、中南米の働く子供たちの本当のエピソードを語っています。情報と自分の想像だけでは思い浮かばないような実話が、ここに明らかになっています。
多くの場合、ただの労働だけではなく、最も危険で最悪な状況の仕事が子供に任せられています。子供たちは大人に反発することもできないし、教えられた通りにすることしかできない。だから、不衛生な環境に置かれたり、兵士にさせられたら最前例にも立たされます。暴力や性的な虐待を受けることも少なくありません。
それはショックなまでに悲惨な現実です。しかし多くの子供たちにとって、これが普通になってしまっています。
例えば、中米の子供たちは日本のNGOのメンバーに「日本の子供たちはどういう仕事をしているの?」と聞くそうです。彼らにとっては働くということが当たり前で、本来子供の"しごと"は学校へ行って教育を受け、自由に遊ぶということなど思いもしなかったのです。
私が第二の母国のように愛しているインドという国でも児童労働を毎日のように目にします。ちょうどこの本を読み終わったとき、私はラジャスタン州にいたのですが、滞在していたホテルでダンサーとして働く女の子に会いました。
ラジャスタンのホテルでディナータイムに踊る女の子。
このホテルでは、毎晩8時になるとターバンを巻いた背の高い男性が弦楽器のチューニングを始め、真っ赤な衣装の奥様とござの上に座ります。準備ができたらはじめにお祈りの曲を一曲。温まってきたところでとろけるまでに美しい歌と音楽を聞かせてくれます。
少女は、良きタイミングで立ち上がり、くるくる周り華麗な踊りを見せてくれます。まだ10歳ぐらいなのに、すでに3年程このホテルでほとんど毎晩踊り続けているそうです。
私はこの子のような何気ないけど華麗な民族舞踊を見るのが大好きです。本当に上手な民族舞踊のダンサーは、自然の流れに身を動かされるように、天地を喜ばせるために踊ります。現代のダンスによくある、パフォーマンスとして人を楽しませたり、「私を見て」といったようなエゴがないのです。
特にこの幼い少女は、極普通に務めをこなすためだけに動いているようで、まったく力みのない、軽やかな舞いでした。
しかし、この日の私は児童労働のことを考えずに見ることはできませんでした。この子は、観光シーズン中は親と一緒に毎日働いている。きっとお金に困らず、義務もなければ毎晩踊ろうとなんて思いもしないのだろう。せめてオフシーズンの時は学校に行かせてもらえているのかな?そんな疑問が私の頭に浮かびました。
しかし、冷静に考えると彼女の状況はそう悪くないのかとも思いました。観光客からのチップを稼ぎにすることは現地ではいい収入になるし、彼女は虐待を受けたり、苦しんでいる様子もない。時々シャイな笑顔を見せてくれるし、家族と離れることなく暮らすことができている。2億1800万人の児童労働者の中で考えると、比較的幸せな環境にいるに違いない。ただ子供で働かされているからかわいそうと決めつけるのではなく、全体を考慮した時に、人の幸せというものには"比較的"な感覚があるのではないかと思いました。とにかく、みんなが持っていて当たり前の「人権」というものと、みんなが絶対に欲しいと感じる「幸せ」というものについて改めて考えるいい機会になりました。
世界的に見て、児童労働者が最も多く関わっている商品はサッカーボールとチョコレートだそうです。私はサッカーに関わることはほとんどないのですが、チョコレートにはよく関わるので(笑)、ここではチョコレートについて少し書きます。
カカオを原料とするチョコレートの生産には、悲しいことに多くの児童労働と不平等な貿易が関わっています。恵まれた環境に生まれた私たちは100円ぽっきりで簡単においしいチョコレートを買うことができます。でもその背景には不道徳な商人によって人権が損なわれ、大人も子供も不平等な状況で働かされているひどい現状があります。だからこそこんなに安くたくさんのチョコレートが私たちの手に入るのです。
一瞬にして口の中で溶ける甘いチョコを楽しむためにどこかでだれかが苦しい思いをしているなんて、とても賛同できることではないのです。この本に出会う前でしたが、何年か前にこのことを知ってから私はなるべく普通のチョコレートを買わないようになりました。私が払う100円が、そうやって大切な人間の人権を平気で奪う企業の手元にいって欲しくないからです。私がそのチョコレートを買うということは、そのやり方にうなずき、お金という形でサポートしてしまうことになるからです。
チョコも好きだし、子供も好きだからこそチョコレートを買うときはフェアトレードを選ぶようにしています。フェアトレードの商品は人権や安全が保証されているものです。「やり方」に関してしっかり意識を持っている人たちが作るチョコレートだから、もちろん味や品質もいいです。最近ではフェアトレードやオーガニックの商品の種類もどんどん増えているので、いろいろ選べます。
自分が味わうおいしさが、他の人の苦しみにつながっていないように..。人として、ヨガの練習を通して意識を育む者として、しっかりと自分のチョイスに責任をもって生きる大人になりたいと私は思います。そうでないと、本当の「おいしさ」や「幸せ」は存在しないのではないかと思います。
トラックバック(0)
コメント(3)
コメントする
モデル/ヨガインストラクター
吉川めい
1980年東京生まれ。国際基督教大学卒’94年雑誌「装苑」でモデルデビュー。その後「セブンティーン」をはじめ数々のファッション誌、テレビ等で活躍。’01年、アシュタンガヨガと出会い、インド・マイソールのシュリ・K・パタビジョイス氏に師事する。’06年、日本人女性初のアシュタンガヨガ正式指導資格を取得する。現在、日本とインドを拠点にヨガインストラクターとして活躍。

吉川めい「裸足のままで〜ナチュラルヨガライフ〜(CD付)」
出版社: INFASパブリケーションズ
価格:1,500円
昨日テレビ番組の中で、めいさんが書いているような、カカオ畑で働いている子供達の姿を見ました。今朝も、自分には何ができるんだろうと考えていた時にこのブログを読んで、そっかと思いました。私もフェアトレードの商品を買う事にして、周りの知り合いにもこの話をしようと思います。
どんなに小さなことでも、いつだって自分にできる身近な一歩が大切ですね。しっかりと意識をもって考えてみると、世界の反対側からだってできることが見えてきます。
優子さん、ステキなコメントをありがとうございました。
mae.
私たちが「当たり前」と思っていることは、実は全く当たり前ではないのですよね。特に日本に住む私たちは、どこかの国の人々が一生懸命つくったものを頂かないと暮らしていけないです。
だからこそ、もっと世界に目を向けていきたいですし、誰かの犠牲の上に自分の生活が成り立っていないか、もっと知る義務があると思っています。