おしらせ
    2009.02.11 [ Wed ] 22:14
ポルトガルからシザさんが来たとき
彼の建築がどうしてあのようなフォルムになるのかと尋ねたら、
「若い時には彫刻家になりたかったのだ」と笑って応えてくれたけれど、
個人の肉体的感覚の発露としての建築が万人に共感を得られるならば、
それは作り手にとって全く幸せなことだと思った。
http://www.soylabo.net/article/2008/09/post_2.html


僕がその頃ちょうど設計に取り組んでいた住宅の階段室は、
恥ずかしながら、その印象的な会話からの影響を少なからず受けていると白状する。

いわゆるローコストの部類に入る厳しい条件。
それでも空間体験は豊かにすることが出来るかも知れない、と勇気を得たからだ。

平面図上は何の変哲も無いストレートな階段だけれど、上を見上げると
天井高5メートル以上の細長い特殊な空間。そこに何やら貫通する箱状のものがあり、そのさらに上方から光りが廻り込む様に落ちてくる。
階段を上っていくとその光りの中に空が見えてきて、しだいに体験者自身も明るい光りに包まれる。そしてさらに進むと、唐突に現れる低い天井の下を潜るような感覚とともに抜け、、そしてその先に、、、
という連続的な、歩みに合わせて展開するシークエンスを用意した。

これまで自分ではあまり試みてこなかったけれど、
彫刻のように空間体験を象ってみるというのも、たしかにひとつの有効なアプローチだ。

住宅なら万人といわず「住まい手」に共感が得られれば先に進めるのだ。
シザさんのスケールとは比ぶべくもないが、きっかけをもらったことで
「体験」に意識的な階段室が生まれ、それは自分にとって新しい試みに富む経験となった。

その住宅、
下野市T邸が住まい手のご厚意を得てオープンハウスを開催することになった。
http://soylabo.net/blog/
可能ならば実際に体験して頂き、ご意見を伺いたい。

5315.jpg
T邸 階段室見上げ

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建築家

山中祐一郎

1972年、栃木県に生まれる。94年、東京造形大学卒業後、渡英。Architectural AssociationでShin Egashiraに師事。帰国に際してアフリカ、アジアの大河を陸路で巡るグランドツアーを決行。内藤廣建築設計事務所勤務を経て、99年、S.O.Y.建築環境研究所/S.O.Y.LABO.を設立。建築設計をベースとして、ランドスケープ、インテリア、ファニチャー、プロダクト、グラフィック等、分野にとらわれないデザイン活動を展開中。