エンターテインメントとアートと接待(2)
    2007.12. 3 [ Mon ] 19:06

サービスする、という言い回し。

他人に対して何かを提供するという事を指します。

 

一般生活において、過剰なサービスって気持ち悪いですよね。

『本日特売3割引!』

ならオオッ!!と思うでしょうけど、

『本日特売全品タダ!』

なんて事言われたら、何か裏があるんじゃないか?と思ってしまいます。

 

いくら親しい友人同士であっても、誕生日にメチャクチャ高いモノをプレゼントされると、何のつもりだろう?とか考えてしまいますよね。

 

度を超えたサービスは逆に不快をもたらす場合があるということです。

でも、何故なんでしょうか?

 

それは、サービスにはコストがかかるからです。

よく考えれば当たり前のことですが、意識されることはあまりありません。

接客や受付の笑顔だって0円なわけではなく、人材教育やマニュアル作り・管理のコストがあって初めて実現できるものです。

安いお店はサービスが悪い。これは当たり前の話。

 

つまり、最初に挙げた例ではサービス/コストのバランスが著しく崩れている事がわかってしまうから気持ち悪いんですよね。

 

ゲームの場合のサービスとは、パッと触った時の面白さやプレイ時間の量・お話の面白さ・絵の綺麗さetc

いろんな要素がありますが、どれも度を超えると良くありません。

 

何故良くないのか。

それには2つの理由があります。

 

(1)            過剰なサービスは、疲れをもたらす。

(2)            コストに見合わないサービスは、未来を生まない。

 

 過剰なサービス。

たとえばプレイ時間が最低200時間はかかるようなゲーム。

 たとえば、緊張感ギリギリのアクションが休む間が全く無く大量に展開されるゲーム。

たとえば、刺激の強すぎるシーンが連続で展開されるゲーム。

 何でも多ければいいってもんじゃありません。お腹いっぱいになっているときにご馳走をだされてもゴミ同然。

 ヒマつぶしにも適量があるのです。

 

 コストに見合わないサービス。

 単純に制作費が多ければ、モノのクオリティは高めやすくなります。メチャクチャな量を作り出すこともできます。

 金に糸目をつけないという考え方。まあこんな事してれば、収益が見合わなくなるのはどの業界でも同じ事。

 会社が潰れます。

 でも、未来を生まないというのは会社が無くなってしまうという意味だけじゃない。

 収益性を追いかけるあまりに保守的になりすぎると、サービスの手法はどんどん均一化されてゆきます。

 その時に何が起こるかというと、サービスを提供する側が摩耗してゆきます。

 コストをかけすぎるのも『見合わない』行為ですが、ヒマつぶしのためのサービスなのに、そこに驚きが無くなれば、それはサービスでは無くなります。

ヒマをつぶせるだけの『サプライズの作り手』たちが『ルーチンワークにいそしむ人』になってしまう。サービスを提供する側にだって、楽しむ気持ちや興奮する気持ちは絶対に必要なのです。つまり『コストをかけすぎない』のも未来が無いんです。

 

 ここはホント難しい。

 ひとつの商品の中でさえ、バランスが難しい。

 この『間』ってあるんでしょうか?

 

 もう少し考えてみたいと思います。

 

(追記)古い話で申し訳ありません。最近になってやっと『バタフライ・エフェクト』を観ました。

映画を観て、あまりの完成度の高さにゾクッとしたのはいつ以来でしょうか…極上のヒマつぶしでした。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧:
エンターテインメントとアートと接待(2)
このブログ記事に対するトラックバックURL:

コメント(3)

千太 :

はじめまして。
「間」のことを考えたこともありませんでした。良いと納得する理由というのは、大事なんですね、、

ひまわり :

初めまして。
何事も適度な休憩という間が必要ですね。
適当ではなく、力を抜いてが一番良い状態なんだと思います。

色々と奥が深いですね。

のぶ :

はじめまして!
サービスについてこんなにもお考えがあってすごいですね。私自身接客の仕事をしているので色々と参考になり、考えさせられました。

コメントする





ゲームクリエイター

稲葉 敦志

1971年8月28日石川県金沢市生まれ。1992年よりゲーム業界に入り、ゲームメーカー数社を経て1998年に株式会社カプコン入社。2000年よりプロデューサーとしてゲーム制作に携わる。カプコン開発部長を経て、2004年、開発子会社クローバスタジオ株式会社の代表取締役に就任。2006年より独立し、現在はプラチナゲームズ株式会社の取締役&プロデューサー。