これまでを振り返って 12
    2009.09.11 [ Fri ] 15:07

◎未来は、自分の過去の上に作っていくもの

 さらに中学生の頃の記憶を掘り起こしていくと、その頃は、週末に映画館に行ってチラシを集めては、そのチラシに好きだと思う順番をつけてファイリングしていたことを思い出しました。映画は今も変わらず好きなものですが、当時はきっとポスターをコレクションしている感覚だったと思います。このチラシの収集も、自分がグラフィックデザイナーの道を進むことに抵抗がなかった要因のひとつだったと思っています。

 映画も自分の好きだった物のひとつだと思い返してからは、当時の作品をDVDで見直すことにしました。そして、当時の作品を観ていると映画音楽の記憶が鮮明に残っていることに気づきました。ただ、このシーンにこの音楽が流れていたわけじゃなかったんだ...というような記憶違いも結構ありました。

 実は、僕の記憶に強く残っていたのは、映画の予告篇だったのです。その映画の中で最も印象的なシーンにメインの音楽を合わせることで映画の世界観を再構築した予告篇という方式が、印象深く記憶されるんだな、と思ったのですが、これは自分がCMに携わるようになった現在、15秒〜30秒という短い尺の中で、商品の良さをどう伝えるかという課題と繋がる部分があり、自分の記憶と仕事がリンクしているようで面白いなと思いました。

 今は、子どもたちの遊び方も一様ではありませんから、何が深く記憶に定着するかは一概には言えないかもしれません。でも、僕にとってのフィギュアに代わる何かを誰もが持っているはずです。それを思い出し、好きだった理由をまとめ直したり、分析することは、忘れかけていた自分らしさを掘り起こし、方向性を再認識したり、軌道修正することにきっと役立つはずです。むやみに悩んでいても、未来が開けることはありません。未来は自分の過去の上に作っていくものなのです。

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クリエティブディレクター/アートディレクター

青木 克憲

65年東京生まれ。サン・アドを経て、99年バタフライ・ストローク株式會社設立。広告のみならず、グラフィック、映像など活動範囲は広く多岐にわたる。企画立案から表現まで幅広くこなせるディレクターとして活躍中。落書きふうの線描や写真、CGを自在に使い分け、鮮度と喚起力に富むビジュアル表現が評判で、多数の企業をクライアントにもつ。