つめ
    2007.10.21 [ Sun ] 11:09
つめとは「最後の詰め」。

詰めが甘いなんて書くと大方の人が「自分もそうだ」と思い。「おれはち
がう」と思った人の大方は他人からそう思われている。

かく書くわたしも詰め甘男ですが、肝心なのはそのつめが自分を良く見せ
る事ではなくて相手にとって困るものかどうかが、肝心なところだと思い
ます。

今日仕事場にくると、階段の上で宅急便のしゃきしゃきっとした青年が荷
物に「不在届け票」に用件をメモしているところでした。

『それはわたしですね』思い当たった訳です。

結構大きな箱でした。そんな大きいものじゃないはずですが、外装箱は実
際のものを安全に包むように「アバウト大きく」出来ています。

箱の上にはこんな事が書かれています。

「こわれもの注意!」ここまでは普通。<配達業者のみなさまへ>大切な
お客様へのお届けものです。お取り扱いには細心の注意をおねがいいたし
ます。

一瞬は『気が利いている』と思いましたが、自分がもし配達の担当だった
らちょっと「カチン」ときそうな気がします。なにせ「印刷」ですから
ものすごく注意してていねいに扱っているひとも、ほんとにそうな人も
わけへだたりなく「注意」されるわけですか。

たしかにこれが「手書き」だったら『おうそうか』と思うかもしれません
が、こういう書き込み印刷が5個10個100個とあったらどう思います。 
『君は注意が足らないから気をつけろ』そんなことを「印刷」で言われた
くはないですね。

だんだん見慣れてその文章に気を使わなくなると思います。案の定箱の角
にへこみがあってこれじゃ意味ないですね。

「いつもご苦労様です!」そう書いた方がよほど気持がいいし、注意して
くれるように思います。

さてさてここからが肝心のはなし。

その大きめの段ボールを持った時、そう重くは感じなかったのです。なに
せ大きいですから。

箱を椅子において、テープを切って中をあけると緩衝材があってその中に
目当ての品物が入っていました。

縦横高さちょうど輸送用の外箱の2/3ぐらいのサイズでしょうか。
それを取り出す時、その重さにびっくりしてつい手が滑って落としてしま
いました。
間が悪い事に横のふすまに穴があいてしまいました。ショック。張り替え
て4年ぐらい一度も開けた事が無いのにあっさりと子供がいたずらしたみた
いにバスっと空いたのです。

大きな箱だと気がつかなかったけれど体積が1/3ぐらいになると俄然「重
い」その半端な大きさの箱はとても持ちにくいのです。

しかも表面がコート紙(光沢があってつるつるしている)なのでますます
滑ります。今持ち直してもやはり持ち上がらない。

ひょっとしたらしっかり持っていていてすべっていたら手を切っていたか
もしれません。

人間「このサイズだったらこれぐらいの重さ」という感覚がなんとなく出
来ているのでそれが裏切られるとほんと意外なもろさを露呈します。

今はコート紙が使われた箱が多いのでそれはしょうがないとしても、小さ
くても比重が高いものにはやはり「手がかり」をつけるべきだろうと思い
ます。

日曜の朝たまたま「つるり」しただけですが、この箱販売店でいろいろ問
題をしかも「落とした方が悪い」と言われそうな問題をおこしていそうな
気がします。

なにせ「意外」ですから。

たまたま今朝経済バラエティー番組(へんな表現ですが)であるビール会
社のPRをしていましたが、その中で「パッケージ専用部門」でいろいろ
な工夫をしているお話が出てきました。

ガラスのビール瓶の軽量化やアルミ缶の口のサイズをちょっと小さくする
だけで軽量化ができてしかも材料の使用量が削減出来る事。数が数だけに
ちょっとした工夫で大きな資源と経費の削減につながる話。 そして12
缶(一ダース)のパッケージの角を落として四角ではなくて八角形にして
いること。

それは視覚的に「差別化」したり、その角に「コピーが書ける」というメ
リットもありますが、なにより「運ぶ人にやさしい」。(瓶や缶の軽量化
も同様です)


やはり「つめ」は相手への思いやりのつめであってほしいと思うのです。

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コメント(3)

kato_san :

こんにちは、秋田さんのホームページのブログからここの存在を知りました。
缶ビールや箱の軽量化の話、私も見ました。思いやりが結果に繋がった良い例ですね。

Anonymous :

意外なもの(前提がない)に対応できないという事実は、
それ自体、気づくことが難しいように思います。

普通の生活をしていると、
見ようとしているものしか見えません。
相手にとってどうか、という、
普段とは、
違う視点で考えることによって
初めて見えてくるものでしょう。

そのようなことを普段の生活で、意識しながら
生活していきたいと思います。

ミシマ :

昔、デザインというと「品物にアートを封じ込める作業」のように感じていた時がありました。
きっとその時目にした作品が良くなかったんだと思いますが、、
人との繋がりがあってこそ、その物の良さが滲んで出てくるんでしょうか。

一気に日記にコメントしてしまいました。
これからも楽しみにしています。

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プロダクトデザイナー

秋田 道夫

1953年大阪生まれ。1977年愛知県立芸術大学美術学部デザイン科卒業トリオ株式会社(ケンウッド)、ソニーデザインセンターを経て1988年よりフリーランスとして公共機器や生活家電のデザインを手がける。デバイスタイルのサーモマグコーヒーメーカーや一本用のワインセラー、六本木ヒルズのセキュリティゲート、他にも公共性の強いデザインとして、「LED 交通用薄型信号機」やICOCAの入金専用機を手がける。